タイ労働法│労働時間・残業・休暇について

タイ労働法とは「労働保護法」のことを指し、これは1998年(仏暦 2541年)に発布されました。
これはタイ人のみに適用されるものではなく、タイで働く全ての国籍の方に適用されるもので、もちろんミャンマー人を始めとする外国人労働者や私たち日本人も対象外ではありません。

労働者保護法には多くの取り決めがあるものの定義が曖昧な場合も少なくないため、長年人事労務に携わるタイ人マネージャーであっても誤った認識を持っている場合があります。

そのため、会社や従業員、そして自分の身を守るためにも、タイに赴任したらまず労働者保護法の基本的な部分を把握しておくことをお勧めします。

このページでは、タイの労働者保護法に関する基本的な部分を数回に分けてご紹介していきます。
今回は労働時間・残業・休暇についてです。

知っておきタイ基本の労働法│労働時間・休憩時間

労働時間について

タイ労働保護法では労働時間は「1日あたり8時間、1週間あたり48時間を超過してはならない」と規定されています。

また、化学薬品を扱う現場を始めとする危険を伴う業務の場合においては、「労働時間は1日あたり7時間、1週間あたり42時間を超過してはならない」と取り決められています。

早く仕事を終えた日の分の時間を別の日に追加する事は可能。また、週の労働時間が48時間を超えていない場合は、時間外手当(残業代)を支払うことなく1日8時間を超えて労働させることができますが、1日あたりの労働時間は9時間を超えてはいけません。★雇用者と被雇用者の合意に基づきます。

休憩時間について

労働時間の途中に1日の休憩時間の合計は1時間以上であることと規定されています。

労働時間は連続して5時間を超過してはならないため、5時間を超える前に休憩を挟む必要があります。
1回の休憩時間は1時間未満に設定する事が出来ますが、1日の休憩時間合計は1時間を下回ってはいけません。
★お昼に1時間の休憩を設定するのが一般的ですが、「10時に10分、お昼に45分、15時に10分」などのように分割して休憩時間を設けている場合もあります。

労働時間の途中の休憩時間は労働時間に含みませんが、1日の休憩時間が合計2時間を超える場合、2時間を超えた分は通常の労働時間とみなされます。

通常の労働時間の後、2時間以上の時間外労働(残業)を行う場合は、通常労働時間と時間外労働時間の間に20分以上の休憩を設定する必要があります。

知っておきタイ基本の労働法│残業時間と残業代

残業(時間外労働)は、タイではOTと呼ばれており、一般的には1日の労働時間が8時間を超えた分からが残業として扱われます。

また、会社が定めた休日に労働する場合もOT扱いとなり、通常の賃金と異なる割増賃金を支払う必要があります。

時間外労働及び休日出勤の賃金は下記の通りです。

  • 平日の時間外労働:1時間当たりの賃金の1.5倍
  • 休日出勤(日給者):1時間当たりの賃金の2.0倍
  • 休日出勤(月給者):1時間当たりの賃金の1.0倍
  • 休日出勤時の時間外労働:1時間当たりの賃金の3.0倍

★賃金は基本給を基に計算されるため、その他手当は残業代の計算に含まれません。

知っておきタイ基本の労働法│休日・特別休暇について

週休日は1日以上設定し、週休日の間隔は6日以下である必要があります。

祝祭日について

年間の祝祭日は事前に通知する必要があります。

これは国が定めた祝日や宗教的な祝日、メーデーを含め、年間13日以上と規定されています。

★国が定める祝祭日を全て休日とすると年間13日を超えるため、企業によっては祝日でも労働日と設定している場合があります。
また、生産計画等の都合により国が定めた祝日を休日とできない場合は、代休を設定する事が可能。

年次有給休暇について

勤続1年の被雇用者は、年間6日以上の年次有給休暇を取得する権利があります。

翌年以降は6日以上を超える日数を規定する事ができ、1年未満の場合は比率計算により有給日数を設定する事が出来ます。

年内に取得していない年次有給休暇は原則買取となりますが、雇用者と被雇用者の事前の合意により、次年度に繰り越すことが可能。

傷病休暇について

被雇用者は怪我や病気をした場合に年間30日以上の傷病休暇を取得する権利があります。

これは勤続年数に関わらず一律で付与され、入社してすぐに取得する事が可能です。
ただし、連続して3労働日以上の傷病休暇を取得する場合は診断書を提出する義務があります。

用事休暇について

被雇用者は不可避な用事のために年間3日以上の用事休暇を取得する事が出来ます。

該当する事としては、役所への届出や運転免許の更新などを始めとする平日にしか出来ない用事なのですが、用事の定義は会社により異なる場合があります。

その他の休暇

その他にもタイ労働者保護法では以下のような休暇が定められています。

  • 出産休暇
  • 不妊手術を受けるための休暇
  • 兵役休暇
  • 研修または知識・能力向上のための休暇

また、企業によっては以下のような休暇を設けている場合があります。

  • 慶弔休暇
  • 結婚休暇
  • 出家休暇 など

まとめ

このページではタイ労働法の中から労働時間・残業・休暇についてご紹介しました。

タイ労働者保護法はタイで働くあらゆる国籍の従業員に適用されます。

ミャンマー・カンボジア・ラオスから来た労働者はもちろんのこと、私たち日本人も例外ではありません。

尚、ご紹介した内容は内容はタイ国労働法に書かれた内容から抜粋し、わかりやすい言葉に要約した上でお届けしております。

弊社は法律の専門家ではありませんので、基本的な内容のみのご案内となりますが、内容についてご不明な点やご相談などがございましたらお気軽にお問い合わせください。