BOI企業における外国人雇用の要件改定について

2025年10月1日より、BOI企業においての外国人雇用の要件が改定されます。
これは2025年6月に公布されたPor.8/2568に詳細が記載されています。

新たに外国人の従業員比率が設けられるなど、要件が厳しくなったように感じますが、これはNon-Bビザを取得してタイで働く外国人が対象となるため、製造ラインで勤務する外国人ワーカー(Non-LAビザを取得して働く外国人)は対象になりません。

細かな要件について以下で解説します。

対象となる企業

今回の改訂に関して対象となるBOI企業は、従業員数100人以上の製造業です。

サービス業や従業員数100人未満の小規模製造業は対象外となります。

もちろん非BOI企業もこの要件は対象外です。

新たに設けられた要件

今回の改定で新たに設けられたのは以下の要件。

  • 総従業員数に対する外国人従業員の比率
  • ポジションごとの最低賃金
  • 労働許可証取得のために必要なバックグラウンド

それぞれのポイントについて解説していきます。

総従業員数に対する外国人従業員の比率

2025年10月1日より施行される新たな制限においては、従業員数の最低70%がタイ人である必要があります。

例えば、総従業員数500名の企業の場合は最低350名がタイ人でなければなりません。
裏を返せば、最大150名の外国人の雇用は認められるということです。

ポジションごとの最低賃金

各ポジションごとの最低賃金(平均月額)も下記の通り定められています。

  • 経営層(エグゼクティブクラス):150,000バーツ
  • 管理職(マネージャークラス):75,000バーツ(関連分野の学士以上は50,000バーツ)
  • オペレーター層(一般職):50,000バーツ
  • 研究者:75,000バーツ(関連分野の学士以上は50,000バーツ)
  • エンジニア:75,000バーツ(関連分野の学士以上は50,000バーツ)
  • オペレーター(BPO):35,000バーツ

経営層とBPOのオペレーターは例外にはなりますが、その他のポジションは大卒で関連分野の専攻を出ていれば50,000バーツとなります。

労働許可証取得のために必要なバックグラウンド

給与の他、労働許可証取得のために必要な要件があります。

  • 経営層(エグゼクティブクラス):年齢27歳以上・5年以上の経験(Chairman/President/CEO/MD は対象外)
  • 管理職(マネージャークラス):年齢27歳以上・関連職務経験5年以上
  • オペレーター層(一般職):年齢22歳以上・関連学歴卒+実務経験2年以上(非関連学歴は実務5年以上)
  • 研究者:年齢22歳以上・関連学歴卒+実務経験2年以上(非関連学歴は実務5年以上)
  • エンジニア:年齢22歳以上・工学学士+実務2年以上(学士なしはエンジニア関連実務経験10年以上)
  • オペレーター(BPO):案件の条件に準ずる。(承認期間は最長1年)

オペレーター層と研究者のカテゴリについては、職務に関連学歴+2年以上の実務経験が必要とありますが、原文を確認すると、大卒でなくても承認は下りるようです。
一方でエンジニアは大卒でない場合10年以上の実務経験が必要となります。

高卒、高専卒、エンジニアリング系の専門学校などは学士に当たらないため、若いエンジニアを雇用する場合にどのようにして労働許可証を取得するのかはひとつのキーになってくるでしょう。

カテゴリごとの該当職種・最低賃金・各種要件まとめ

ここまで説明した内容を以下の表にまとめました。

カテゴリ該当する職種最低賃金(平均月額)労働許可証取得要件
経営層Chairman, President, CEO, CFO, COO, CTO, Vice President, Managing Director, GMなど150,000
バーツ
年齢27歳以上・5年以上の経験
※ Chairman/President/CEO/MD は年齢・経験要件免除
管理職Production Manager, Factory Manager, Assistant MD, Assistant VP, Marketing Advisorなど75,000
バーツ
※関連分野の学士以上は50,000バーツ
年齢27歳以上・関連職務経験5年以上
オペレーターProduction Supervisor, Project Coordinator, Electrical Engineer, Injection Mold Technician, IT Specialist, Software Engineer, Sales Executive, Operatorなど50,00バーツ年齢22歳以上・関連学歴+実務2年以上(非関連学歴は実務5年以上)
研究職R&D Supervisor, Senior R&D Staff, Application Scientist, Lab Specialist, Data Scientistなど75,000
バーツ
※関連分野学士以上は50,000バーツ
年齢22歳以上・関連学歴+実務2年以上(非関連学歴は実務5年以上)
エンジニアMechanical Engineer, IT Engineer, Production Engineer, Electrical Engineerなど75,000
バーツ
※工学系学士以上は
50,000バーツ
年齢22歳以上・工学学士+実務2年以上(学士なしはエンジニア関連実務10年以上)
BPOオペレーターコールセンタースタッフなど35,000バーツ案件の条件に準ずる。
(承認期間は最長1年)

施行日と適用における猶予期間

施行日は2025年10月1日ですが、BOIの認可が下りた時期により、本制限の適用における猶予期間が制定されています。

  • 投資奨励証明書(BOI Certificate of Promotion)発効日が2025年6月5日以降の場合
    →2025年10月1日に即適用
  • 投資奨励証明書(BOI Certificate of Promotion)発効日が2025年6月5日よりも前の場合
    →2026年1月1日までに適用させる義務あり(3ヶ月の猶予期間)

情報確認元

今回の内容は、タイ投資委員会(Board of Investment of Thailand)の公式ホームページ内にあるAnnouncement of the Office of the Board of Investment No.Por.8/ 2568に記載されている情報に基づいて作成しました。

細かい内容については、原文資料をご確認ください。

まとめ

BOI企業における外国人雇用の要件変更について、お判りいただけたでしょうか。

弊社が対応しているクラスの外国人労働者については今回の要件変更の対象外になりますので、これまで通り安心して雇用頂けます。

外国人ワーカーの雇用に関するお問い合わせや、本記事に関するご質問等についてはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡くださいませ。